【2025年改正】育児時短就業給付金を解説!

Noppo社労士事務所のHottaです。

2025年4月の改正により、育児休業給付以外に新たな給付が増えることとなりました。具体的には、これまであった育児休業給付金と出生時育児休業給付金の他に、「出生後休業支援給付金」と「育児時短就業給付金」が追加されました。
「出生後休業支援給付金」については別の記事で解説しておりますので、こちらをご覧ください。今回は、もう一つの『育児時短就業給付金』について解説していきます!

どんな人が受給できるのか?

育児時短就業給付金を受給するには、まず下記の受給資格を満たす必要があります。

要件Ⅰ≪受給資格≫

◎下記のいずれも満たす雇用保険被保険者であること

⑴2歳未満の子を養育するために、1週間あたりの所定労働時間を短縮して就業する被保険者
⑵次のいずれかに該当する被保険者
①育児休業給付の対象となる育児休業から引き続き、同一の子について育児時短就業を開始する被保険者(育児休業終了から育児時短就業開始まで間があく場合は、14日以内であれば対象)
②育児時短就業開始前2年間に、被保険者期間※が12か月ある被保険者
※賃金支払基礎日数が11日以上(11日以上ない場合は賃金の支払基礎となった時間数が80時間以上)ある完全月

時短就業とは?

2歳に満たない子を養育するために、被保険者からの申出に基づいて、1週間あたりの所定労働時間を短縮することをいいます。どのくらい短くなれば短縮と言えるのか、基準はありませんので、単純に短くなっていれば対象になります。

1週間あたりの所定労働時間が短縮されていればいいので、1週間あたりの所定労働日数が減少した結果、所定労働時間が短くなっている場合も当てはまります。
ただ、あくまでも雇用保険の被保険者である必要があり、1週間あたりの所定労働時間が20時間未満になってしまうと雇用保険被保険者でなくなるため、基本的には育児時短就業給付金の対象からも外れます。

支給対象期間について

支給対象期間は、時短就業を開始した月から終了した月まで(子が2歳に達したときは、2歳の誕生日の前日まで)となります。月の途中で時短就業を開始、または終了をした場合でも、その月も含めて支給対象期間となります。
ただ、育児時短就業期間中に別の子を養育するための育児時短就業や、産前産後休業、育児休業、または介護休業を開始した場合は対象でなくなります。

出典:『育児時短就業給付の内容と支給申請手続』(厚生労働省)

なお、対象となる月にはいくつかの要件があります。要件Ⅰを満たしたうえで、支給対象月にかかる次の要件Ⅱも満たさなければ、給付金の支給はありません。

要件Ⅱ≪支給対象月≫

◎下記のいずれも満たす月であること

①初日から末日まで被保険者であること(月の途中で退職した場合、その月は対象外)
②1週間あたりの所定労働時間を短縮して就業した期間があること
③初日から末日まで、続けて育児休業給付または介護休業給付を受給していないこと
④高年齢雇用継続給付の受給対象となっていないこと

支給額

支給額は、時短就業した月(支給対象月)に支払われた賃金(以下、支給対象月賃金)によって決まります。
あくまでも「時短就業した月(支給対象月)に支払われた賃金」ですので、支給対象月にある給与支給日に支払われた賃金で計算をします。
 例)末締め翌月25日払いの場合
 時短就業した月:9月 → 支給対象月賃金は「9月25日に支払われた賃金(8/1~8/31分の給与)」

そして、支給対象月賃金が【育児時短就業開始時賃金月額※の90%以下か90%超か】で計算方法が変わります。
なお、「支給対象月賃金+育児時短就業給付金の額」の合計が支給限度額(471,393円※2026年7月31日までの金額)を超える場合は、超えた部分は支給されません。・・・◆

育児時短就業開始時賃金月額:育児時短就業開始前直近6か月間に支払われた賃金の総額を180で除した額に30を乗じたもの(育児休業から引き続き育児時短就業を開始した場合は、育児休業開始時賃金月額を育児時短就業開始時賃金月額とする)。上限額および下限額あり。

⇒ 支給対象月賃金 × 10%・・・★

⇒ 支給対象月賃金 × 10%から一定の割合で逓減する率※・・・■

※逓減する率とは、例えば支給対象月賃金が育児時短就業開始時賃金月額の95%であれば、給付金の額は支給対象月賃金の約5%となります。この場合の支給率の計算式は下記の通りです。

支給率 ={ 9,000 × 育児時短就業開始時賃金月額 ÷(支給対象月賃金 × 100)- 90 }÷ 100

厚労省は、賃金率に対する支給率を下記の表で公表しています。

出典:『育児時短就業給付の内容と支給申請手続』(厚生労働省)

支給されないケース

上記であげた要件ⅠおよびⅡを満たしていても、下記のケースにあてはまる場合は、育児時短就業給付金が支給されません。

・支給対象月賃金が、育児時短就業開始時賃金月額の100%以上のとき・・・●
 育児時短就業の前後で賃金が減少していないことになるので、給付金の支給はありません。

・支給対象月賃金が、支給限度額(471,393円)以上のとき・・・▲
 支給限度額471,393円は2026年7月31日までの金額で、毎年見直されます。

・育児時短就業給付金の額が、最低限度額(2,411円)以下のとき・・・♠
 最低限度額2,411円も2026年7月31日までの金額で、毎年見直されます。

実際の計算は…?

ここまで、支給額や支給されないケースを説明してきましたが、ここからは実際の金額に当てはめて計算してみたいと思います。
説明文で使用したマーク(◆★■●▲♠)は、下記の例にそれぞれ対応しているので照らし合わせてみてください。

育児時短就業給付金の計算式

育児時短就業開始時賃金月額(上限額:483,300円/下限額:90,420円 ※2026年7月31日までの金額)
支給対象月賃金(支給限度額:471,393円 ※2026年7月31日までの金額)

⇒ 支給対象月賃金 × 支給率 = 支給額(最低限度額:2,411円 ※2026年7月31日までの金額)

<例1>←★

育児時短就業開始時賃金月額:300,000円
支給対象月賃金:200,000円
⇒支給対象月賃金(200,000円)が育児時短就業開始時賃金月額(300,000円)の90%以下のため、支給率は10%

 200,000円 × 10% = 20,000円

<例2>←■

育児時短就業開始時賃金月額:300,000円
支給対象月賃金:280,000円
⇒支給対象月賃金(280,000円)が育児時短就業開始時賃金月額(300,000円)の90%超~100%未満のため、支給率は10%から一定の割合で逓減する率

 支給率 ={ 9,000 × 300,000円 ÷(280,000円×100)- 90 }÷ 100 ≒ 6.43%(四捨五入)
 280,000円 × 6.43% = 18,004円

<例3>←◆

育児時短就業開始時賃金月額:483,300円
支給対象月賃金:430,000円
⇒支給対象月賃金(430,000円)が育児時短就業開始時賃金月額(483,300円)の90%以下のため、支給率は10%

 430,000円 × 10% = 43,000円

ただし、「支給対象月賃金+育児時短就業給付金の額」の合計が支給限度額(471,393円)を超える場合は、超えた部分は支給されないため、最終的な支給額は次の通りとなります。

 471,393円 - 430,000円 = 41,393円

<例4>←●

育児時短就業開始時賃金月額:300,000円
支給対象月賃金:300,000円
⇒支給対象月賃金(300,000円)が育児時短就業開始時賃金月額(300,000円)の100%であるため、支給はなしとなります。

<例5>←▲

育児時短就業開始時賃金月額:483,300円
支給対象月賃金:472,000円
⇒支給対象月賃金(472,000円)が育児時短就業開始時賃金月額(483,300円)の90%超~100%未満ですが、支給対象月賃金が支給限度額471,393円を超えているため支給はなしとなります。

<例6>←♠

育児時短就業開始時賃金月額:200,000円
支給対象月賃金:24,000円
⇒支給対象月賃金(24,000円)が育児時短就業開始時賃金月額(200,000円)の90%以下のため、支給率は10%

 24,000円 × 10% = 2,400円

ただし、育児時短就業給付金の額が最低限度額2,411円を下回っているため、支給はなしとなります。

最後に

年々、育児休業に関連した給付金は拡大する一方、ややこしくなっているのも事実です。厚労省が公表している案内も簡単には読み解くことができず、苦労している方も多いのではないでしょうか。

育児時短就業給付金は、要件ⅠとⅡを満たすことができれば受給が可能です。
支給されないケースに当てはまることがないか、支給額はいくらになるのか、今回の記事を参考にご確認いただければと思います。

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