面接では、人の本質は見抜けない――「話されたこと」ではなく、「行動」を見る採用へ
Noppo社労士事務所の養父です。
今回は、採用の現場で当たり前のように使われている「面接」という手法について、少し視点を変えて考えてみたいと思います。
面接は、応募者の人となりを直接確かめられる大切な機会です。
しかし、面接“だけ”で判断しようとすると、見落としてしまうことがあまりにも多い――
そんな現場の実感から、この記事を書いています。
面接で見えているのは、「整えられた姿」
多くの企業では、履歴書や職務経歴書、面接での受け答えをもとに、応募者を評価しています。
- ・受け答えがしっかりしている
- ・言葉も丁寧で、印象は悪くない
- ・過去の経験も豊富そう
こうした情報をもとに、「この人なら大丈夫そうだ」と判断されることも多いのではないでしょうか。
ただ、そのときに見えているのは、「応募者が準備してきた“整えられたアウトプット”」です。
志望動機や自己PRは練習され、エピソードも伝わりやすく工夫されている。
受け答えや所作も、面接という場に合わせて調整されています。
いわば、応募者は“自分をよく見せる努力”をしている状態。
そこには、本音や無意識の反応が表れる場面は、ほとんどありません。
言葉だけでは伝わらないことがある
企業が本当に知りたいのは、たとえばこんなことではないでしょうか。
- ・自分で考えて動ける人かどうか
- ・周囲と協調しながら進められるか
- ・難しい局面にどう向き合うか
- ・他者の意見をどう受け止め、どんな行動を選ぶか
こういった資質は、話し方や印象だけでは判断が難しいものです。
本来は、その人の行動や反応を通じて見えてくるものだと私たちは考えています。
「本当の姿」は、行動の中ににじみ出る
たとえば、
- ・意見の異なる他者と話がぶつかったとき、どう対応するか
- ・予期せぬ課題に直面したとき、どう考え、どう動くか
- ・グループの中で、どのように発言し、どのように受け止められるか
こういった場面では、言葉では伝えきれない“その人らしさ”が自然とあらわれてきます。
どんなふうに考え、選び、動くのか――
そこに、その人が実際に組織の中でどう関わっていくのかのヒントがあるのです。
“話す場”ではなく、“動く場”も取り入れる
だからこそ、採用のプロセスに「行動を見る場」を取り入れることをおすすめしています。
たとえば――
- ・人と一緒に課題を解決するような演習
- ・イレギュラーな対応を求められるシナリオ課題
- ・実際の仕事に近い場面を想定した模擬ワーク
※これらは「アセスメントセンター」を導入することで、どのような小規模事業所でも無理なく実施できます。
こうした中で応募者がどんなふうに思考し、関わり、動くのかを見ることで、「入社後、どのように働くか」のイメージが、ぐっと具体的になります。
面接にも、もちろん大切な役割がある
もちろん、面接という方法そのものに価値がないとは思っていません。
行動を通じてその人らしさを把握したうえで、最後に価値観のすり合わせや意思確認をする場としては、とても有効です。
ただ、最初から面接だけで判断しようとすると、見えない部分が多すぎるというのが率直な実感です。
話してみて印象が良かったからといって、それがそのまま「入社後の働きぶり」につながるとは限らない。
その点は、しっかり意識しておく必要があると思います。
おわりに
採用とは、「応募者の入社後の働きぶり」をあらかじめ見極める営みです。
そのためには、言葉や印象ではなく、「実際にどう動くか」を観察できるプロセスが不可欠です。
人の本質は、言葉では隠せても、「行動」では隠せません。
だからこそ、「話されたこと」ではなく、「行動」を見て判断する採用が、これからの組織を支える鍵になると私たちは考えています。
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