「ええ奴採用」という方針を掲げる経営者
Noppo社労士事務所の養父です。
ある界隈で有名な経営者がこのような発言をしていました。
「僕はええ奴を採用する」
当たり前のことを言っているようで、実はとても本質を突いています。
そして、この言葉の意味を本当に理解している経営者は、現実には少ないのではないでしょうか。
私はアセスメントセンターという行動分析手法を通じて、これまで多くの人を見てきましたが、この考え方は間違いなく正しいと考えています。
ただし、本当に重要なのはここからです。
問題は「どう見極めるか」です。
ええ奴は、面接だけでは見抜けません。
応募者が用意したアウトプット、つまり話した内容や書いた内容、経歴、知識で判断しようとしても、本質は見えません。
なぜなら、本質は「行動」にしか現れないからです。例えば、ええ奴には次のような行動が見られます。
・自分の役割に留まらず、周囲の状況を見て自然にフォローができる
・意見が対立しても、相手を否定せずに前に進める関わり方ができる
・自分が目立つことより、チーム全体がちゃんと回ることを優先して動ける
これらはすべて「演じる」ことが難しい行動です。
一方で、面接はどうしても「準備された言葉」を評価してしまいます。
ここに採用の限界があります。
そのため、平時だけでなく、一定のストレス負荷がかかる場面(有事)での行動を引き出す仕組み。
そして、行動と能力の因果関係を読み解ける観察者(プロアセッサー)。
この両方がなければ、ええ奴は見抜けません。
これは私が現場で何百人と見てきた中で、何度も痛感してきたことです。
よく、理念採用によって共感してくれた人を採用すれば、採用ミスは減るという提案や実体験を聞くことがあります。
もちろん、それ自体を否定するつもりはありません。
しかし、現実はそこまで甘くありません。
なぜなら、それも短時間の面接であれば、演じることが可能だからです。
そして、もう一つ重要な点があります。
仮にええ奴を採用できたとしても、その人が定着するとは限りません。
ええ奴は必然的に「人を観る目」を持っているからです。
・経営者の姿勢
・マネージャーの判断
・先輩、同僚等の仕事力の高さ
これらを非常に敏感に感じ取ります。
そして、「違う」と判断した瞬間に、静かに離れます。
声を荒げることも、文句を言うこともありません。
だからこそ厄介です。
気づいたときには、時すでに遅しという状態になります。
ここで多くの企業がつまずいています。
その大きな原因は、マネジメント層の昇格基準が間違っていることです。
例えば、現場でよく見る「残念なマネージャー」は次のような行動をとります。
・最優先にすべき部下と向き合う時間を疎かにする
・部下の特性を把握せず、無理無駄のあるマネジメントをする
・部下の意見を聞き入れず、自己への否定と受け取る
こういうマネージャーの下では、ええ奴は確実に離れていきます。
だからこそ、「昇格基準」を変える必要があります。
評価すべきは、数字や社歴ではありません。
・ええ奴を見極められるか
・ええ奴を活かせるか
この2点です。
ええ奴がええ奴を選び、ええ奴がマネジメントする。
この構造ができたとき、組織は自然と強くなります。
逆に、この構造がなければ、どれだけ理念を掲げても機能しません。
組織はトップの理念ではなく、中間層の質で決まります。
理念を掲げることは簡単です。
しかし、それを確実に実現する「構造」に落とし込める経営者は多くありません。
組織は、結局は「人」です。
そして人は、「言葉」ではなく「行動」でしか見抜けません。
だからこそ、採用の本質は理念ではなく「構造」にあります。
・ええ奴を見極める
・ええ奴を採る
・ええ奴を活かす
この3つが、組織の未来を決めます。
採用の構造を、
昇格の基準を、
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