採用の不安とは、「本質が見えないこと」への不安
Noppo社労士事務所の養父です。
「今の採用方法、本当に正しいのだろうか…?」
日々、経営者の方々とお話しする中で、こうした疑問を抱えながらも、誰にも相談できずにいる方が少なくないと感じています(全く疑問をもたれていない方もいますが…)。
実は「面接」や「適性検査」で人を見抜くというのは、思っている以上に難しいことです。
私自身もこれまで数多くの適性検査を受けたり、職員やクライアントにも試してきましたが、結局のところ「話した内容や書いた内容」=本人のアウトプットをもとに判断する仕組みである限り、表面的な印象や期待値での判断からは抜け出せません。
思った通りに回答する人もいれば、質問の意図を読んで「会社に好印象を与える」ような答えをする人もいる。あるいはそもそも自分のことを勘違いしている人もいます。
そのため、検査結果を見ても「結局この人を採るべきかどうか?」という判断には至らないのが実情です。
採用にだけ「素人判断」が残されている理由
ある程度の規模になれば、労務は社労士、法務は弁護士、税務は税理士といった具合に、専門家に任せる企業は増えていきます。
それにもかかわらず、採用だけは今もなお、自社での素人判断に委ねられているのが現実です。経営者や担当者が「この人で大丈夫だろうか…?」という不安を抱えたまま採用を決め、入社後に違和感を持ちつつも数年が経過し、「やっぱりうまくいかなかった」という結果になる。
その頃にはもう、採用面接までさかのぼって「なぜこの人を選んだのか?」を検証する時間も余裕もなく、また同じプロセスが繰り返されていくのです。
経験者採用がもたらす「見えないリスク」
最近では「経験者」「資格保有者」を求める声がますます強くなっています。
もちろん、即戦力として求める気持ちは理解できます。ただ、「経験知」だけに頼った採用は、本当にその人が自社で活躍できる人かどうかを見誤る可能性も高くなります。
以下の公式は、経営者が「人を見極める視点」をもつ際に重要なものです。
●経験知 × 仕事力(人間力)= 生産性
※出典 『採るべき人×採ってはいけない人 第2版』 奥山典昭氏
いくら経験やスキルがあっても、「人としてどうか」「組織の中で協働できるか」「長く安心して働けるか」という観点が欠けていれば、生産性は上がらないどころか、組織を不安定にしてしまう可能性すらあるのです。
「安心できる採用」は、行動で見極める時代へ
私たちNoppo社労士事務所では、採用リスクを極小化するために「アセスメントセンター」という手法を導入しています。
これは、面接やテストではなく、応募者の“実際の行動”を観察し、仕事で求められる力を見極めるという、心理学に基づく行動分析の手法です。
この方法を取り入れてからというもの
・入社後すぐにトラブルになる
・数年後にパフォーマンスが極端に下がる
・不可解な辞め方をする
といったリスクが劇的に減りました。
表面的な印象に惑わされず、「一緒に働いていける人かどうか」を冷静に、かつ客観的に判断することができるからです。
まとめ
人間にとって本当に大切なものは、目に見えにくく、表面だけを見ていては決してたどりつけません。
だからこそ、先入観やバイアスに振り回されず、その人が実際にどう動くのか・どう関わるのかという行動を観察する仕組みが必要なのです。
採用で迷いや不安を感じるのは、「人を見抜けていない」という直感的な違和感に気づいているからです。
けれど、その感覚を放置したまま人を迎え続けてしまえば、同じような採用の失敗を繰り返すことになります。
本当に必要なのは、見抜ける仕組みを持つこと。
見抜けないまま採るのか、それとも、見極められる仕組みをもって採用の質を変えるのか。
その選択こそが、組織の未来を左右する、最も本質的な経営判断だと私は考えています。
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