第一子の育児休業中に第二子を出産する場合の手続きは?

Noppo社労士事務所のTomoishiです。

育児休業取得率は、女性では8割台と高い水準で推移しており、従業員から育休を取得したいと言われた時に会社としてどのように手続きを行っていけばよいか何となく知っているという人事労務担当者は少なくないと思います。

では、第一子の育児休業を取得して育児休業給付金を受給中の従業員から第二子の出産について連絡があった場合、どのような流れで手続きを進めていけばよいかご存知でしょうか?

・第二子の育児休業給付金は受給できるの?
・いつから第二子の産休に入るの?
・第一子の育児休業給付金はいつまで受給できるの?

今回は、第二子出産に関するそんなお悩みについてご説明いたします。

第二子の育児休業給付金は受給できるの?

第一子の育休後に続けて第二子の産休・育休を取得する際に、最も気になるのはこの点についてだと思います。育児休業取得中は原則、働くことができません。もし第二子の育児休業給付金を受給することができなければ、第二子育休中の収入がなくなってしまいます。

結論から言うと、上記の場合も条件を満たせば第二子の育児休業給付金を受給することはできます。では、「条件を満たせば」というのがどういうことか、詳しく見ていきましょう。

育児休業給付金の支給要件の一つに、下記のような要件があります。

育児休業給付金の受給要件

休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある(ない場合は賃金の支払いの基礎となった時間数が80時間以上の)完全月が12か月以上あること。

※過去に基本手当の受給資格や高年齢受給資格の決定を受けたことがある場合は、それ以降のものに限る。
※育児休業開始日前2年の間に、疾病、負傷等やむを得ない理由により引き続き30日以上賃金の支払を受けることができなかった期間がある場合は、当該理由により賃金の支払いを受けることができなかった期間を2年に加算することができる(合計で最長4年間) 。

簡単に言うと、本来は育児休業開始前2年間に被保険者期間が12ケ月以上必要だけれども、その2年間にやむを得ない理由により30日以上賃金の支払いを受けていない期間があれば、その期間分さらに遡ることができるということです。

遡れる期間はもともとの2年間にプラスして2年間までなので、合計で最大4年の間に12ケ月以上の被保険者期間があれば受給できる、ということになります。

やむを得ない理由には病気やけがの他、妊娠・出産もふくまれるため、今回のテーマのように連続して育児休業を取得する場合、第二子まで給付金を受給できるケースは多いといえます。

ただし、例えば第一子の育児休業を2年近く取得していたり、第一子育休取得前につわりや病気・怪我などで休業していた時期が長期間ある場合は条件を満たせない可能性もありますので、本当に第二子の育児休業給付金を受給することができるかどうかは、都度よく確認する必要があります。

第一子の育児休業はいつまで? いつから第二子の産休に入るの?

育児休業は、育児介護休業法により「産前産後休業や新たな育児休業が始まった場合、その前日に終了する」と定められています。つまり、第一子の育児休業は、第二子の産休開始日の前日に終了するということになります。

ここで重要となるのが、第二子の産休をいつからとるか、もっと言うと第二子の産前休業をとるかとらないかという点です。

いわゆる「産休」は、厳密には産前休業と産後休業に分けられます。

産前休業……出産予定日の6週間前(双子以上の場合は14週間前)から、労働者が請求すれば取得可能

産後休業……出産日の翌日から8週間※については、母体保護のため本人の申出有無にかかわらず就労禁止 ※出産日の翌日から6週間経過後は医師の承諾があれば就労可能

そのため第一子の育児休業期間は、労働者から第二子の産前休業の取得申請があれば第二子の産前休業開始日の前日までになり、取得申請がなければ第二子の産後休業開始日の前日(第二子の出産日)までになります。

これを図で表したのが下記の画像です。

第一子の育休も第二子の産休も、同じ休業期間中なのだからどちらを選んでも変わらないのでは?と思われるかもしれません。確かに、会社としては労働者がずっと休んでいるという点で違いはありませんが、いつから第二子の産休に入るかによって、従業員本人がもらえるお金が変わってきます。どう変わってくるのかについては、次をご覧ください。

第一子の育児休業給付はいつまで受給できるの?

産休・育休期間中の被保険者の生活を守るために、健康保険から出産手当金が、雇用保険から育児休業給付金がそれぞれ支給されるのはご存知かと思います。では、先ほどの①と②のパターンでは、第一子の育児休業給付をそれぞれいつまで受給できるでしょうか?

それを表したのが、下記の図です。育児休業給付金と出産手当金を受給できる期間をそれぞれ色分けしています。

あれ?②のパターンだと第一子の育児休業給付金と、第二子の出産手当金を受給できる時期が被っているけど?と思われたかもしれません。
そうです。実は、図にも書いてある通り、第一子の育児休業給付金と第二子の出産手当金は併給可能なのです。

ざっくりと産休期間中は出産手当金、育休期間中は育児休業給付金が支給されると理解されている方が多いと思いますが、厳密には少し違います。
出産手当金は、出産日(出産が予定日より後になった場合は、出産予定日)以前42日(多胎妊娠の場合は98日)から出産日の翌日以降56日までの範囲内で、会社を休み給与の支払いがなかった期間を対象として支給されます。この期間内に休業していて給与の支払いがなければ、その休業が第二子の産前休業なのか、それとも第一子の育児休業なのかは問われません。

育児休業中は育児休業給付金を受給していますが、これは給与ではないため出産手当金の支給要件(給与の支払いがないこと)に抵触しません。つまり、第二子の産前休業を取得しなくとも、第一子の育児休業を取得していれば賃金は発生しませんので、第一子の育児休業給付金を受給しながら第二子の出産手当金を受給することができるということです。

ただし、併給が可能となるのは最長で産前休業期間の最終日である出産日までです。出産日の翌日以降は本人の申請の有無にかかわらず取得義務のある産後休業が始まってしまうため、第一子の育児休業(育児休業給付金の支給)は終了となります。

まとめると…

・育児休業開始前2年間(最大遡って4年間)に12か月の被保険者期間があれば、第二子の育児休業給付金を受給することができる。そのため、第一子育休から続けて第二子産休・育休に入る場合も、第二子の育児休業給付を受給できる可能性は十分にあります。

・第一子育児休業期間中であっても、出産日(出産が予定日より後になった場合は、出産予定日)以前42日間について給与の支払いがなければ、出産手当金が支給される。

・第二子の出産手当金と第一子の育児休業給付金は併給可能。

➡出産日までは第一子の育児休業を取得して、出産日の翌日以降に産後休業に入れば、出産手当金と第一子の育児休業給付金が最大限に貰えるということになります。

最後に

年子の兄弟姉妹というのも珍しくはないので、第一子の育児休業中の従業員から第二子の出産について連絡を受けるというケースも少なくはないと思いますが、通常の育休取得については慣れているという人でも、実際にこのような連絡を受けたときは、とっさにどうしたらいいのかわからず慌ててしまうのではないでしょうか。

もしも、この記事で紹介しているような制度を知らずに第二子の産前休業からご案内してしまうと、ご本人の受給できる金額が大きく変わってきてしまう可能性があります。今回のお話は細かい制度の話なので少しややこしいですが、重要な制度の情報であると思います。

昨今では仕事と育児の両立に関する会社の多様なサポートが義務化されつつありますので、自社の従業員から続けて第二子育休に入ると連絡を受けた際もスムーズにご案内ができるよう、今回の情報がお役に立てば幸いです。

当事務所では、女性と男性どちらの育児休業にも対応可能です。

・続けて第二子の産休・育休に入るケースは初めてなので手続きに不安がある…

・男性の育児休業取得者は初めてで、女性の場合とどう違うのかわからない…

このようなお悩みを抱えていらっしゃる場合は、Noppoにご相談ください!

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