令和7年度 介護人材確保・職場環境改善等事業についての解説+実務で重要なQAまとめ
事業の目的は?
この事業は、介護職員等の賃金アップ等を目的とした補助金です。介護職員等の人件費(賞与などの)改善や職場環境改善(「介護助手や介護サポートなど」を募集するための経費、研修費等)の取組が支援の対象です。
要件は?
対象となる事業の要件は以下のとおりです。
対象サービスであること
対象となるサービスは、以下のとおりです。

介護職員等処遇改善加算(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、またはⅣ)を算定していること
基準月(原則として令和6年12月、または令和7年1月、2月、3月のいずれかの月)において、介護職員等処遇改善加算(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、またはⅣ)を算定していることが基本です。ただし、基準月に処遇改善加算を取得していない場合でも、令和7年4月15日までに令和7年度の処遇改善加算の取得に係る届出をしていれば、対象となります。
職場環境改善等に向けて、以下のいずれかの取組の実施を計画または既に実施している必要があります。
① 介護職員等の業務の洗い出しや棚卸しなど、現場の課題の見える化
② 業務改善活動の体制構築
③ 業務内容の明確化と職員間の適切な役割分担の取組
※ 計画書の提出の際に、①から③のいずれの取組を行っているのかを、申請(該当項目にチェック)します。
①~③の取り組み事例については以下を参照してください。
対象外の事業所は?
令和7年4月以降に開設する新規事業所は対象外です。また、計画書の提出時点で廃止・休止となることが明らかになっている事業所等も対象外です。
他はいつもどおりですね。

いくらもらえる?
補助金の額は、原則、以下のとおりです。
補助額=令和6年12月の総報酬(※1) × サービスごとの交付率(※2)
※1 基本報酬サービス費に各種加算(処遇改善加算含む)・減算を加えた単位数に、1単位の単価を乗じたものです。12月サービス提供分が他の月と比較して著しく低いときは、事業所の判断で、令和7年1月、2月または3月サービスを基準の月とすることもできます。
※2 サービスごとの交付率:サービスの区分に応じて設定された交付率
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事例
例えば、ある訪問介護事業所の一月当たりの加算関係を含めた介護総報酬が500万円の場合
500万円 × 0.105 = 52万5千円
したがって、一月当たりの介護総報酬が500万円の訪問介護事業所の場合、52万5千円の補助金を受け取ることができます
原則として一回限りの支給です。東京都の場合、交付は6月頃を予定しています。
補助金の対象経費は?
この補助金は、処遇改善加算とは別枠で管理する必要があり、具体的には以下の2つの方法で使用できます
人件費の改善
手当や賞与として支給することが想定されています。1回限りの支給ということもあり、毎月の固定給与をベースアップすることには適していません 。
支給明細には「補助金対象賞与」など、わかりやすい項目名を付けることを推奨します 。
介護職員だけでなく、同一事業所で雇用する介護職員以外の職員への配分も可能です 。法人本部の職員についても、補助金の対象であるサービス事業所等の業務を行っていると判断できる場合には、人件費改善の対象に含めることができます 。
補助金の交付対象期間において、前年同時期と比較して、人件費改善の対象とした職員の平均的な賃金水準を低下させてはいけません 。
職場環境改善のための経費
A 介護助手や介護サポーターなどを募集するための経費
B 職場環境改善のための様々な取組を実施するための「研修費」の経費
C その他の経費(要件となっている以下①から③の取組を実施するために要する費用のうち、介護テクノロジー等の機器購入費用ではないもの)➡専門家の派遣費用、会議費等
① 介護職員等の業務の洗い出しや棚卸しなど、現場の課題の見える化
② 業務改善活動の体制構築
③ 業務内容の明確化と職員間の適切な役割分担の取組
※介護テクノロジー等の機器購入費用については、別途設ける「介護テクノロジー導入・協働化等支援事業」により対応するため、今回の補助金から支出することはできません。
※過去に職場環境改善等のために要した経費は、今回の補助対象とはなりません。基準月(令和6年12月)以降に行った職場環境や人件費改善のための経費に充てることとされていますのでご注意ください。
注意点
補助金の使途については、実績報告書で具体的に記載する必要があります 。対象経費以外に使用していたことが判明した場合は、返還となります。
職場環境改善経費について、消費税仕入控除税額を対象経費に含めていた場合、当該控除税額分に相当する補助金の返還が必要となる場合があります 。
よくある質問
交付額により人件費の改善や職場環境改善を行う場合、「いつまでに」行う必要があるのか
基準月(令和6年 12 月を基本とし、令和7年1月、2月または3月も選択可能)から各自治体が定める実績報告書の提出までに行う必要があります。
法定福利費等の事業主負担の増加分は、人件費の改善に含めてよいか
OKです!
補助金を人件費の改善に充てる場合、介護職員以外の職員への配分は可能か
同一事業所において雇用する者であれば、介護職員以外も含め、すべて対象とすることが可能です。
法人本部の職員については、補助金の対象であるサービス事業所等における業務を行っていると判断できる場合には、人件費改善や職場環境改善の対象に含め
ることができます。
人件費や職場環境改善等の経費に充てられることとなっているが、補助経費間の配分ルールは設けられているのか
あらかじめ決まった配分ルール等はありません。人件費に全額充てることも、職場環境改善の経費に全額充てることも、双方に充てることも可能です。
補助対象経費として「介護助手等を募集するための経費」とあるが、介護職員を募集するための経費に充てることは可能か
業務効率化等の観点から、介護助手等(介護補助者、介護サポーターなど)の募集のための経費に充当することを想定していて、一般の介護職員を募集するための経費に充てることは想定していません。
過去に職場環境改善等のために要した経費は今回補助対象となるのか
なりません。
事業者が補助金の入金を受ける前に実施した人件費改善や職場環境改善であっても、基準月(原則、令和6年 12 月)以降に実施したものであれば、今
回の補助金の充当先として実績報告することも可能です。
職場環境改善経費について、介護助手等を募集するための経費や研修費以外に、どういった経費が対象経費として含まれるのか
職場環境改善経費については、介護助手等を募集するための経費または職場環境改善等のための様々な取組を実施するための研修費に充当することが基本です。
補助金の要件としている
「介護職員等の業務の洗い出しや棚卸しなど、現場の課題の見える化」、
「業務改善活動の体制構築(委員会やプロジェクトチームの立ち上げまたは外部の研修会の活動等)」
「業務内容の明確化と職員間の適切な役割分担(介護助手の活用等)の取組」
に関する取組を実施するために要する費用のうち、介護テクノロジー導入・協働化等支援事業の対象経費(介護テクノロジー等の機器購入費用)ではないもの、たとえば、専門家の派遣費用、会議費等に充当することも可能です ※その他の職場環境改善に要する費用全般に充当することは想定されていません。
交付額を算出する基準月について、事後的に報酬が変動したことにより、変更申請を行うことは可能か
基準月については、申請後、事後的に変更することは不可です。
月遅れ請求、再請求等に伴う過誤調整分については、令和7年3月末日までに生じ、令和7年4月 10 日までに審査支払機関により受理されたものに限り、反映することとしており、それ以降の過誤調整分については反映されません。ご注意を!
交付額を算出する基準月について、各事業所の判断となっているが、令和6年 12 月サービスではない場合「その理由」は必須なのか
理由を届けることは不要です。ただ、特段の支障がない限り、月遅れ請求、再請求等に伴う過誤調整分を適切に反映できるということもあり、令和6年12月サービスを基準月とすることをお勧めします。
事業者から本補助金を債権譲渡したい旨の要望があった場合の考え方
本補助金は、債権譲渡することは適当ではないとされています。
このため、債権譲渡等により、国保連合会に登録されている口座に本補助金を振り込むことが適当でない事業所に対する本交付金の支払いについては、債権譲渡
を行っていない事業所の介護給付費等の振込先口座または介護サービス事業者等の口座に直接支払(振込)を行うことになっています。
障害福祉サービスも同様なのか?
障害福祉サービスも同様と考えてください。QAもほぼ介護と同じ内容でした。
交付率は?


「介護人材確保・職場環境等改善事業に関するQ&A(第2版)について
第一版との違いは、問21~問26が追加になっている点です。以下、参考にしてください。
◆問21~問25
「人件費の改善の実施」ではなく「職場環境改善経費への充当」を選択された方向けの内容です。
Noppoの顧問先には大きな影響はなさそうですが、該当する方は念のためご確認ください。
◆問26について
計画書提出時に選択していなかった取り組みに使った経費も、実績報告時に含めることが可能です(計画書の再提出などは不要です)。
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