「適性検査」はメリットどころかマイナスなのではないか、という問いを立てたことはありますか?
Noppo社労士事務所の養父です。
10年以上も同じ適性検査を使い続けているという方に出会ったときの話をします。※特定できないよう複数の情報を統合しています
適性検査を活用している企業は数多とあるものの、長期継続的に活用し続けているところは珍しいのではないでしょうか?
私自身は、いわゆる「適性検査」を一切採用に活用していません。
なぜなら、適性検査は応募者の操作性や恣意性が入り込む余地があり、その操作性や恣意性が入り込んだものを分析することが
そもそも困難だと判断しているからです。
◆アセスメントセンター ≠ 適性検査
アセスメントセンターは、心理学に基づく行動分析手法です。
応募者の無意識領域にストレスをかけ、平時のみならず有事のシチュエーションを含めた「本当の行動」を炙り出す仕組みです。
さらに、その数々の行動を、数千〜数万人を見てきた熟練のアセッサー(行動分析者)が、集積・統合して見極めていきます。
だからこそ、緻密で再現性の高い分析(人の見極め)が可能になります。
でも、この話をすると、たまにこのように言われます。
「なるほど、精度の高い適性検査みたいなものですね?」と。
これまでのその人の概念にはない手法ではあるので、認識しづらいというのは理解できるものの、
その瞬間、正直ちょっと残念な気持ちになります。
◆10年使い続けた経営者の言葉
さて、本題です。
10年以上、同じ適性検査を使い続けているという経営者に聞きました。
養父「10年間使ってきて、分析結果ってどうでしたか?」
経営者「概ね、当たっているように思う」
養父「実際、組織の状態はどうですか?」
経営者「働く人と働かない人で分断されているんですよね…」
養父「え?適性検査で見極められてきたんじゃ…?」
経営者「どうしても人手が足りないときに、結果を無視して採用してしまうんですよ…」
養父「・・・」
◆結局、適性検査を「使えていない」現実
経営者が「当たっている」と言うのだから、分析結果としてはそれなりに精度があるのでしょう。
でも、冷静に考える必要があります。
適性検査って何のためにやっているのでしょうか?
「応募者を見極めるため」ですよね。
たとえば、適性検査の結果を見て「この人を採用したら明らかに火種になる」と判断できなければ意味がありませんし、
判断できた結果、「見送る」という決断ができなければそれまた意味がありません。
判断できても「人手が足りない」という理由でその判断をねじ曲げてしまうなら、そもそも「機能していない」と同義です。
・適性検査を使っても、見極めの確信が持てていない
・採用を見送る判断に自信が持てない
・実際の仕事力が測れない
これでは、ツールを入れていても「ない」のと同じ。
むしろ、本当は見送る必要のない「採るべき人材」を逃している可能性すらありませんか?
◆一度、立ち止まって考えましょう
もし今、適性検査を活用しているのであれば、次の問いに一度向き合ってみてください。
☑本当に応募者の見極めができているか
☑結果をもとに、自信を持って見送りの判断ができているか
☑その結果で、採用リスクをどこまで減らせているか
これらに☑が入らないなら、その適性検査は、メリットどころかマイナスです。
「適性検査を導入できたから安心」という錯覚こそ、一番危険です。
採用は、ツールを入れることではなく、見極める力を自分たちが持てるかどうかで「組織の命運(未来)」が決まります。
見極めに自信を持てないツールは、結局、「採るべきではない人」を見送ることができず、「採るべき人」を獲得できないのですから、
たとえ10年使い続けても「少数精鋭の質的生産性の高い組織」にはなりません。
