介護職員処遇改善支援補助金および福祉・介護職員処遇改善臨時特例交付金について

新年初回のブログは、「介護職員処遇改善支援補助金」についてお伝えします。

現段階では、行政へ連絡しても「まだ何もわからない」という状態なので、ひとまず、厚労省から詳細がおりてくるまで待つしかありません。改正関係がギリギリなのは毎度のことですね・・。
➡内容を適宜修正してお伝えします。右上の更新日付が変わっていたら修正を掛けています。

介護職員処遇改善支援補助金は、「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」として、介護職員を対象に賃金引上げを目的とする補助金です。ただ、今回は「他の職員」の賃金引上げにこの補助金を充てることができるような柔軟な運用も認められています。

収入を3%(月額9,000円)引き上げるための措置という表現が使われていますが、過去と同様に、実際はサービスや売上によって交付される補助金額が変わるため、一人月額9,000円の賃金改善を確実にできるというわけではありません。この点は、「期待を裏切られた」と思う事業者の方も多いかもしれませんね・・。それでは現時点での案をみていきましょう。

【対象事業】

介護保険事業

※障害福祉事業の交付率は介護保険事業と異なります。

【対象外事業】

訪問看護、訪問リハ、福祉用具貸与、居宅療養管理指導、居宅介護支援、介護予防支援は、介護職員処遇改善加算の対象外となっているのと同様に対象外です。

【対象職種】

介護職員+その他の職員※

「その他の職員」の範囲は各事業所において判断します。また、本部の人事、事業部等で働く者など、法人内で介護に従事していない職員の取扱いについては、特定加算の算定対象サービス事業所における業務を行っていると判断できる場合には、その他の職種に含めることができます(QAより)。

【いくらもらえるのか?】

※加算減算には、処遇改善加算や特定処遇改善加算も含みます。ここは要注意です。

【交付率】※介護事業

交付率は以下のとおりです。詳細は表をご覧ください。

訪問介護             2.1%
通所介護(デイサービス)     1.0%
地域密着型通所介護(小規模デイ) 1.0%
グループホーム(GH)          2.0%

小規模多機能型居宅介護      1.6%

看護小規模多機能型居宅介護    1.6%
介護老人福祉施設(特養)       1.4%

※障害福祉事業の交付率はこちらをご覧ください。

※令和4年10月~は、加算に組み込まれることになり、処遇改善加算や特定処遇加算を含まずに算定することになるため料率が少し上がることになります。また、加算に組み込まれるということは、利用者負担が発生することになります。

利用者負担が発生することに抵抗感がある事業者の方もいらっしゃいますが、職員の方々の処遇を手厚くすることなくして、事業の存続はない・・・いずれ先細りすると考えてください。

【適用期間】

令和4年2月~令和4年9月までの8か月間

※令和4年10月以降は、「調整・検討」となっていますが、同様の制度が「加算」として継続されます。

令和4年10月以降の処遇改善支援補助金の取り扱い

【要件について】

その1

令和4年2・3月(令和3年度中)から実際に賃上げを行っていること、かつ、処遇改善加算Ⅰ~Ⅲのいずれかを取得していること
➡既存の事業所が、3月以降に処遇改善加算(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)を新規算定した場合、申請は認められません。ただし、令和3年3月以降に新規開設する時点から、処遇改善加算(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)の算定をし、かつ、支援補助金の要件に合致する賃金改善を実施すれば、申請が認められます。4月以降の新規開設事業所についても、同様の考え方です。また、4月以降の新規開設事業所が、この補助金を受けようとする場合、賃上げ開始の報告は不要です。5月以降については各指定権者に確認をしてください。2月2日付厚労省QAを根拠として、当事務所はこれで進めますが、必ずご自身で確認するようにしてください。

その2

補助額の2/3以上は、介護職員等の「基本給」や「毎月支給する手当」に使用すること

その3

(その2)の支給に伴う就業規則(賃金規程)等の変更を行うこと
※例外として、令和4年2月~3月分は「一時金による支給が可能」とされています。また、現行の加算と合わせることも差し支えないとされています(QAより)。

※介護職員等特定処遇改善加算のようにグループ分けをした上で配分するといったルールは示されていませんが、介護職員とその他の職員に支払う場合、それぞれでベースアップ等の要件を満たす必要があるのでご注意を!

【支給例】

(例)総報酬300万のデイサービス(交付率1%)なら
①300万×1%=3万円 × 2/3 =20,000円 ➡ 基本給や手当で支給
②300万×1%=3万円 ×   1/3 =10,000円 ➡ 一時金で支給

という感じです。

前述のとおり、令和4年2・3月分については一時金による支給が可能です。

①の手当ついては、多くの事業所で賃金規程などに「処遇改善手当」などの項目を規定化していると思いますので、どのように配分するかを少しでも余裕のあるうちに検討しましょう。

【申請の流れ】

令和4年2月 賃上げを実施した旨を記載した用紙(報告)を都道府県に提出

※賃金改善が3月であれば、3月末の締め切りです。
※現行の加算に合わせて改善する場合、たとえば、2月サービス提供分を2か月や3か月遅れで改善する場合などは、2月から改善という扱いとなり、2月中に報告する必要があるようです。

令和4年4月15日 処遇改善加算計画書を提出予定

令和4年6月 補助金の入金がスタート(2月~4月分より)※以降は毎月入金されます

令和5年1月 実績報告書の提出(令和4年2月~9月分)

【追記】福祉・介護職員処遇改善臨時特例交付金

障害福祉職員を対象とした賃金引上げを目的とする補助金の交付率は以下を参考にしてください。就労定着支援、自立生活援助、地域相談支援、計画相談支援、障害児相談支援は交付対象外です。

【追記】Q&A

時給や日給を引き上げることは、ベースアップ等の引上げになる?

ベースアップ等の引き上げに該当します。
「基本給」または「決まって毎月支払われる手当」の引き上げは、ベースアップとなるため、時給や日給の引き上げも対象です。

・月ごとに支払われるか否かが変動するような手当
・労働と直接関係が薄く、労働者の個人的事情により支給される通勤手当や扶養手当等
は対象外です。

結局、どういう流れで対応すればいいの?

可能なら、2月分から実際に賃金改善を実施しましょう。ただ、現実的には間に合わない事業所も多いでしょうから、2月分を含む2か月分を3月に一時金で支払うことも可能です。また、賃金改善月を現行の加算の賃金改善月(たとえば、6月~5月や7月~6月)に合わせても問題ない可能性もあります(QAより)。指定権者に必ず確認をしてください(どうも県によって対応が異なるところもあるようです。ローカルルールは存在しちゃいけないとは思いますが、県の担当者の保有情報も錯綜している感じですね)。

・賃金改善を開始した月(2・3月)中に、都道府県に対し、賃金改善を実施した旨を記載した用紙(介護職員処遇改善報告様式)を提出します。この報告の期限は必ず都道府県のHPを確認しましょう。
※【修正040226】Noppoでは、2月中に報告を済ませました。訪問介護事業所で障害福祉サービスを実施している事業所さんは、特例交付金分も忘れずに報告してくださいね。

・4月15日までに、都道府県に対し、処遇改善計画書を提出します。

・2~4月分の補助金は、まとめて6月に支払われます。
※決算期が補助金を受給するより以前に到来する会社は、補助金の収益計上に注意しましょう。具体的には顧問税理士の方にご相談ください。信頼できる税理士さんのご紹介が必要であればNoppoまでご連絡ください

・令和5年1月31日までに、都道府県に対し、処遇改善実績報告書(様式未定)を提出します。

2月や3月分に一時金で支払った場合、3分の2をベースアップ等に充てる計算にどのように影響しますか?

ここが勘違いしやすいところですが、2月から9月までの8か月間全体の賃金改善額の3分の2以上をベースアップに充てる必要があります。ですので、2月3月に支払った分はあくまでも3分の1に算入できるだけなので、最初に全体設計をきちんとする必要があります。

➡【追記040226】Q&A(vol.2)がでました。状況によって、3分の2に算入できる可能性もあります。

柔軟に判断ということは分かりますが、介護職員については、必ず事業所内で該当する者全員を、賃金改善の対象としなければいけないのでしょうか?

介護職員について、誰に賃金改善を実施するかの最終的な判断は、事業所に自由な裁量権があります。必ずしも、事業所内に所在するすべての介護職員 について、賃金改善を実施しなければいけない、というものではありません。

たとえば、法人内で一定要件(たとえば、週所定労働時間30時間以上の者など)を付け、該当する職員のみへの支給方法を行った場合も認められます。稼働時間の多い人や出勤の多い人に対して、優先的に支給することも事業所の判断です。

逆に、何も言わないで一定の人しか支給しないというのは、職員からの不信感を招きます。「会社として、どのような方針で支給するのか」は丁寧に説明をするようにしてください。

ベースアップ等に係る要件については、「介護職員」と「その他の職員」 のグループごとに満たす必要があるか?という質問について

対象サービスの事業所に所属するその他の職員に支払うことは可能です。ただし、その場合に、それぞれで満たす必要があるということに注意が必要です。つまり、介護職員のグループに支払う総額に対して、ベースアップ等に係る要件として2/3を満たし、その他の職員に支払う総額に対して、2/3を満たす必要があるということです。またややこしさが増しますねよね・・。

必ず就業規則等を整備しなければならないの?

必ず整備しなければならないというものではありません。要は既存の賃金に関する規定を活用できるか否かということです。既存の賃金に関する規定を活用できないのであれば、規定の修正なり、新規策定が必要になります。その場合は必ず3月中には整備しておきましょう。またヘルパーさんも含め10人以上の事業所は労基署に届け出も行いましょう。

さいごに

介護職員処遇改善交付金
介護職員処遇改善加算
介護職員等特定処遇改善加算
そして、介護職員処遇改善支援補助金・・・

交付金時代からずっとこの加算を見守り続けていますが、事務の簡素化どころか、ますます複雑になっていますよね。特定処遇改善加算は規模が大きい事業所ほど本当に大変だと思います。もうシンプルに「介護職員処遇改善加算」に付加する形にできないのか・・。事務にかける負担が重くなっていることを鑑みて、支援補助金については、無理のないシンプルな手続きになることを祈るばかりです。

あとは、詳細が公表されるのを待ちましょう!

コールセンターに繋がらない・・

全国の問い合わせをコールセンター1本にするのは、本当に無理がありますよね・・。私も何度か電話しましたが、未だに繋がったことはありません。見切り発車も必要とは思いますが、これだけ疑問の多い内容を提示するのは現場を混乱させるだけで、余計介護事業所の皆さんの生産性を落としていると思います。

特に、いつまでに(いつから)賃金改善を実施しなければならないのか?については、情報が錯そうしています。基本は3月までに何等かの一時金を支払うということだと思います。ただし、処遇改善加算や特定加算処遇改善加算について、賃金改善実施期間をずらしている会社もありますよね。その場合、支援補助金や特例交付金のみ賃金改善実施期間をずらさないというような運用は後々混乱を招くだけです。なので、この取り扱いについては、基本QAの問2にある「現行の処遇改善加算等と異なる取り扱いにならないよう、各事業所において適切にご対応いただきたい」という文言のとおり、ずらして対応すること自体は問題ないと関係各機関へのヒアリングなりQAから私自身は解釈しています。しかしながら、自治体によっては、3月中の賃金改善を求めるという記載から一切変更していないところも多いのですよね・・。

たぶん、多くの方がお困りかと思いますので、参考サイトもあげておきます。

東京都中心にはなってしまいますが・・

東京都(支援補助金)のQA
https://b0eb84f9.viewer.kintoneapp.com/public/75641a35e1a58dd2616f590ff5dbe09b#/
➡増える可能性もあるので、ときどき確認をしましょう!

東京都(特例交付金)のQA
https://www.shougaifukushi.metro.tokyo.lg.jp/Lib/LibDspList.php?catid=022-050

ご参考にしてください。

と言いますか、厚労省がこのQAを集約して運用したら良いのに・・と思います。結局どこの自治体に電話しても、厚労省の回答に従いますになるわけなんですから・・(ローカルルールを強行に推し進める自治体を除く)。

【追記】Q&A(vol.2)が出ました

問1
令和4年2月分及び3月分について一時金で賃金改善を行った場合、当該改善分をベースアップ等による賃金改善として取り扱うことは可能か。

(答)
令和4年2月分及び3月分について一時金で賃金改善を行った場合においても、
当該対応が、単に就業規則等の改定がなされていないことのみの違いであるなど、
同年4月分以降に行うベースアップ等による賃金改善を見越した対応である場合には、
2月分及び3月分の一時金による賃金改善のうち、同年4月分から9月分までの間の
ベースアップ等による賃金改善分に相当する額をベースアップ等による賃金改善分に
含めることとして差し支えない。

<例>
4月以降のベースアップ等による賃金改善額の平均が各月 7,000 円であって、
2月分及び3月分の一時金による賃金改善が 18,000 円である場合、
ベースアップ等による賃金改善分に含めることが可能なのは、
2か月分の 14,000 円(7,000 円×2)までとなる。

【Noppo】
より混乱してしまいそうな気もしますが、3月に支払った一時金がベースアップ等による賃金改善として算入できることもあるということです。いっそのこと一時金として扱ったほうが分かりやすいかもしれませんね・・。

【追記】第3の加算(新しい処遇改善加算)が決まりました

正式名称は、「介護職員等ベースアップ等支援加算」です。

概要は以下のとおりで、支援補助金と変わりはありません。

◆対象
介護職員。ただし、事業所の判断により、他の職員の処遇改善にこの処遇改善の収入を充てることができるよう柔軟な運用を認める。

◆算定要件
以下の要件をすべて満たすこと。
・処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅲ)のいずれかを取得していること
・賃上げ効果の継続に資するよう、加算額の2/3は介護職員等のベースアップ等(※)に使用することを要件とする。※「基本給」又は「決まって毎月支払われる手当」の引上げ

◆加算率
加算に変更となることで、若干変わります。
いま掲載すると混乱する方もいると思いますので、落ち着いたころに掲載するようにします。

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