東京都介護職員・介護支援専門員居住支援特別手当事業について

東京都が、介護職員や介護支援専門員の処遇改善のため、国が必要な見直しを講じるまでの間(恒久的な措置ではなく暫定的です)、介護事業所等を対象として、月額1万円(法人勤続5年目までは1万円加算して2万円)を支給する事業をはじめます。

対象職種

・介護職員
・訪問介護員
・サービス提供責任者
※サ責は、訪問介護計画の作成、居宅介護支援事業所との連携、訪問介護員への指示等を行う方で、訪問介護員としての業務を経験された方がキャリアアップされて従事されることも多いこととみなして対象
・生活相談員
・支援相談員
※生活相談員および支援相談員は、利用者及び家族に対する相談援助、介護支援専門員との連携等を行う方で、介護職員としての業務を経験された方がキャリアアップされて従事されることも多いこととみなして対象
・介護支援専門員または計画作成担当者として業務を行う者

対象者

・常勤

・非常勤職員(所定労働時間が週20時間以上)

※ひとりケアマネ事業所のケアマネさんも対象
※役員(法人代表者を含む)についても、週20時間以上、介護職員または介護支援専門員としての職務に従事していれば対象。 ただし、役員の場合は手当の支給ができないため、実績報告のときに勤務実績の分かる書類の提出を求められます。
※PTやOTの方でも、週20時間以上、介護職員の仕事に従事していれば対象です。
※介護事業所と障害事業所の双方に介護職員として兼務していて、週20時間以上働いている場合も対象。ただし、どちらかで申請することになります(障害のほうも同様の補助金が新設されるそうです。※2024.03.30時点では不明)。
※ヘルパーさんなど、労働時間を決めていない方(シフトで勤務が決まる方)については、実働労時間で週20時間以上、介護職員としての仕事に従事していれば対象。もしくは、月で80時間以上の実労働がある場合が対象になる見込みと東京都への確認が取れていますが、この情報については東京都のQAを待ちましょう。
※事務職員でも、介護職員また介護支援専門員としての業務のみで所定労働時間が週20時間以上である場合は対象
※「都外」に住んでいる職員も対象
※【注意】派遣社員は対象外

支給額

月額1万円(勤続5年目までの介護職員には1万円を加算)

※居住の形態にかかわらず、一定程度介護及び介護支援専門員の仕事をしている職員はすべて対象
※既存の手当への充当は認めれないため、必ず「居住支援特別手当」を支給する必要があります
※介護支援専門員は、介護職員としてのキャリアが5年以上あるため、勤続5年未満でも1万円のみ。
※役員についても、1万円のみ。

法人内異動時の勤続年数の数え方

・法人内で事務職から介護職に異動した人は、介護職となった時点で1年目
・法人内の障害事業所から介護事業所に異動した人は、障害事業所からの年数が通算されます。介護事業所に異動した後からではありません。

対象事業所

処遇改善加算の対象事業所にケアマネ事業所が加わったと考えれば、分かりやすいと思います。
※総合事業も対象

事業の流れ

申請の流れは複数ありますが、大前提として、給与規程の改定が必要です。10人未満の会社で就業規則がない会社は、労働条件通知書の作成が必要です。

原資を先に確保したい場合

給与規程の改定 ➡ 補助金申請 ➡ 概算前払い ➡ 手当支給

先に手当を支払ってもOKな場合

給与規程の改定 ➡ 手当支給 ➡ 補助金申請 ➡ 概算前払い

給与規程

補助金の申請には、「居住支援特別手当」を創設し、給与規程に記載し、労基署への届け出が必要です。

要件として

手当名は「居住支援特別手当」とします。また、都の補助条件に沿った手当だと分かるよう「東京都介護職員・介護支援専門員居住支援特別手当事業補助金交付要綱」に準拠して支給する旨を記載する必要があります。

東京都が示す「給与規程の記載例」

手当の支給方法

一時金でもOKと誤解される方もいますが、原則「月払い」です。
ただ、支給開始年度は給与規程の遡及改定を行い、遡及分を一括して支給することが可能です(この内容が誤解を生みやすいので注意してください)。

補助金の支払い方法

補助金は手当の支給予定分が東京都より「概算前払い」されます。

「概算前払い」となるため、翌年度、実際の支給額に応じて精算・返金が必要です。申請して終わり・・・ではないのでご注意ください。

※採用予定の人の分も見込みで申請することが可能ですが、採用できずに支払わなかった分は翌年の実績報告の際に返金することになります。
※逆に、予定より多くの人が採用できてしまった場合、令和7年1月以降に追加申請を受け付ける予定とのことです(後掲の申請スケジュールをご参照)。

補助金額

申請スケジュール

補助金の申請受付は、6月17日ごろから12月末が予定されています。比較的ゆとりのある申請期間になっていますが、給与規程の改定が必要な事業所さんにおいては、早めに取り組まれた方が良いと思います。
※4月分から申請できます。支払いベースで判断していくため、末締めの会社であれば、3月末締め➡4月支払いからスタートできるということです。その場合の給与規程の改定施行日は、3月1日です。
※申請は、事業所ごとではなく、「法人ごと」です。

申請パターン例

先に手当の支給を開始してから補助金を申請する場合

【例1】
・6月に給与規程を改定(7月から適用)
・7月から毎月手当を支給
・12月に補助金を申請
※補助金は7月分から申請(4月分~6月分は申請しない)

【例2】都の推奨パターン
・6月に給与規程を4月に遡及して改定
・7月に4~7月分の手当を一括で支給、その後毎月手当を支給
・12月に補助金を申請
※補助金は4月分から申請

【例3】Noppo提案
・4月に給与規程を改定
・4月に手当支給を開始し、その後毎月手当を支給
・12月に補助金を申請
※補助金は4月分から申請

先に補助金をもらってから手当の支給を開始する場合

【例1】
・6月に給与規程を改定(9月から適用)
・7月に補助金を申請、9月に入金
・9月から手当を支給 
※補助金は9月分から申請(4月分~8月分は申請しない)

【例2】都の推奨パターン
・6月に給与規程を4月に遡及して改定
・7月に補助金を申請、9月に入金
・9月に4~9月分の手当を一括で支給、その後毎月手当を支給
※補助金は4月分から申請

さいごに

社内用にまとめたものです。正確な情報は東京都のHPへ確認をするようにしてください。
https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/kourei/hoken/kyojushientokubetsuteate.html
まだまだQAは増えていくように思えますし、ヘルパーさんなどの月によって労働時間が変動する方のQAも確認したいところです。「判断が微妙だな」という場合は、来年1月に追加申請するという方法もあるかと思います。皆さんの整理に役立てれば幸いです。

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