両立支援等助成金(育児休業等支援コース)の流れ
こんにちは。Noppo社労士事務所のHottaです。
今日は両立支援等助成金の育児休業等支援コースについてご説明します。
この助成金は何と言っても、流れが非常に重要になってきます。一つ一つ順番に行う必要があり、申請までに手間がかかる助成金ですが、その対応さえできれば問題ありません。
今回はその特に重要な「流れ」についてご説明します!
両立支援等助成金(育児休業等支援コース)とは
両立支援等助成金の育児休業等支援コースは「「育休復帰支援プラン」を作成し、プランに沿って労働者の円滑な育児休業の取得・職場復帰に取り組み、育児休業を取得した労働者が生じた中小企業事業主に支給します。」(厚労省「2023年度 両立支援等助成金のご案内」)とされています。
育休取得時及び職場復帰時(職場復帰時は育休取得時を受給していなければ申請できません)どちらも支給額は30万円です。
また、どちらも1事業主2人まで申請が可能ですが、無期雇用労働者1名、有期雇用労働者1名に限ります。
育児休業等支援コース<育休取得時>の流れ
育休取得時の大まかな流れは以下になります。
1 育児休業復帰支援プランにより、育休の取得・復帰を支援する方針を労働者に周知
プランにより支援する方針をあらかじめ全労働者に周知する必要があります。
この周知は、対象労働者の休業(※1)開始日の前日までに実施しなければなりません。
2 対象労働者との初回面談
休業前までの働き方について、業務の引き継ぎを含め話し合います。
3 育休復帰支援プランの作成
初回面談の内容を踏まえて、以下を盛り込んだプランを作成します。
①業務の整理・引き継ぎに関する措置
②育児休業中の職場に関する情報及び資料の提供に関する措置
この二つを必ずプランで定めなければいけません。
また、育休復帰支援プランは対象労働者の休業(※1)開始日の前日までに作成する必要があります。
4 業務の洗い出し
対象労働者が担う業務をピックアップし、整理をします。
取り組んだ形跡が残るよう、メモを残しておきましょう。
5 対象労働者との2回目の面談
ここで、業務の洗い出しが完了していることを確認します。
6 業務の引き継ぎ
休業(※1)開始日の前日までに、育休復帰支援プランに基づいて業務の引き継ぎを実施します。
プランに基づいた引き継ぎではなく、すでに引き継ぎを終えている場合は対象外となります。
洗い出し同様、取り組んだ形跡をメモで残しておきましょう。
7 業務の引き継ぎ完了を確認
8 産休
連続3か月以上の育休(産後休業から引き続いて育休を取得する場合は産後休業含む)を取得する必要があります。
9 育児休業申出書の作成
出産の連絡が来たら、育児休業申出書を作成します。
10 申請
申請期限は、産後休業から連続して育児休業を取得した場合は産後休業開始日、それ以外は育児休業開始日、から起算して3か月を経過する日の翌日から2か月以内です。
※1…産前休業から引き続き産後休業・育児休業を取得する場合は産前休業、産後休業から引き続き育児休業を取得する場合は産後休業、それ以外は育児休業
また、これらと並行して進めなければいけないものもあります。
・育児介護休業規程の整備をし、労働者への周知を行う
①育児・介護休業法第2条第1号に規定する育児休業
②育児・介護休業法第23条に定める育児のための所定労働時間の短縮措置
上記の制度すべてを休業開始前に定めている必要があります。
・一般事業主行動計画を策定し、労働局へ届出をする
支給申請日までに策定、届出、公表及び周知する必要があります。
申請には、一般事業主行動計画策定届(受付印のあるもの)を添付します。
・出勤簿またはタイムカード、及び賃金台帳の準備
休業(※1)前1か月分の就業実績及び育休(産後休業から引き続いて育休を取得する場合は産後休業含む)3か月分の休業状況が確認できるものでないといけません。
注意!
休業前1か月分というのは、休業を開始した月の前月1か月分という意味ではなく、休業開始日から起算して前1か月分を指します。
例えば、5/15に産前休業に入る場合は、「休業前1か月分」が「4/15~5/14」になるためこの期間にかかる書類が必要となります。
同様に育休3か月分も、5/15に育休(もしくは産後休業)に入る場合、5/15~8/14にかかる書類が必要です。
※1…産前休業から引き続き産後休業・育児休業を取得する場合は産前休業、産後休業から引き続き育児休業を取得する場合は産後休業、それ以外は育児休業
休業までにやらなければならないことが多いので、どこまで終えたか分からなくなってしまわないよう、順序立てて管理していく必要があります。
育児休業等支援コース<職場復帰時>の流れ
職場復帰時の大まかな流れは以下の通りです。
※職場復帰時は育休取得時を受給していないと申請できません。
1 休業中に職務や業務内容に関する情報及び資料の提供を行う
対象労働者の職場復帰を円滑にするために行う必要があります。
例としては、業務データ、月報、業務マニュアル、企画書、業界紙などです。
掲示板への掲載や、電子メールで情報提供を行うことも可能ですが、日付を確認できるものでなければなりません。
2 職場復帰約2か月前に対象労働者との面談を行う
対面での面談が困難な場合は、電話、メールなどによる相談・調整でも構いません。
3 職場復帰
原則として、休業前の職務に復帰する必要があります。
また、復帰から支給申請日まで、雇用保険被保険者として6か月以上継続して雇用している必要もあります。
4 申請
申請期限は、育児休業終了日の翌日から起算して6か月を経過する日の翌日から2か月以内です。
また、職場復帰時にも並行して進めなければいけないことがあります。
・出勤簿またはタイムカード、及び賃金台帳の準備
育休取得時と同様に準備しなければならない書類ですので、忘れずに準備を進めましょう。
育児休業終了前3か月分の休業状況と職場復帰後6か月分の勤務実績が確認できる書類が必要です。
職場復帰時については、育休取得時よりもやらなければならないことは少ないですが、育休取得時から引き続き取り組まなければならないので、あまりのんびりはしていられません。
休業中に行う情報及び資料の提供は、おおよそ3か月に1回程度の頻度で行うと良いでしょう。
ただ、回数よりも中身が重要です。<育児休業等支援コース(職場復帰時)詳細>には、「情報提供を行った日」として3回分記載する欄がありますが、必ず3回やらなければいけない訳ではなく、逆に3回しかやってはいけない訳でもありません。回数が重要視されるのではなく、「復帰に役立つ情報」を提供しているかどうかが問われます。
まとめ
順序を間違えてしまうとうまくいかなくなってしまうので、どこまで完了しているか、今何を進めているのか常に把握する必要があります。準備を始める前におおよそのスケジュールを考えてから取り組むと、途中で混乱することも少ないでしょう。
この助成金は準備段階が非常に重要ですので、申請を希望される際にはお早めにご連絡をお願い致します!
【参考】
・両立支援等助成金(育児休業等支援コース)支給要領<https://www.mhlw.go.jp/content/001082775.pdf>
・両立支援等助成金支給申請の手引き 育児休業等支援コース<https://www.mhlw.go.jp/content/001059588.pdf>
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