【令和7年度補正予算分】令和7年度 介護職員賃上げ・職場環境改善支援事業について(基準月は原則令和7年12月)

Noppo社労士事務所の養父です。
今回の支援策(令和7年度分ではなく、令和7年度補正予算分です。ややこしい…!)は、インフレ時代の介護経営において避けては通れない「賃上げ」と「生産性向上」がセットになった非常に重要な内容です。経営者の方が押さえておくべきポイントを現時点での情報をもとに解説いたします。
事業の目的
本事業は、他産業との賃金格差による人材流出を防ぐための緊急的な対応です。令和8年度の介護報酬改定を待たず、先行して介護職員等の処遇改善と職場環境の整備を支援することを目的としています。
実施主体
各都道府県が主体となって実施します。
対象期間
原則として令和7年12月のサービス提供分を基準月とし、そこから6か月分の補助額を算出します。
※令和7年12月~5月の6か月分は補正予算で、令和8年度分(6月以降分)は、令和8年度介護報酬改定によって処遇改善がなされます(令和8年6月施行)。
対象となるサービス類型
今回は対象範囲が大きく広がり、以下のサービスが含まれます。
• 訪問介護、通所介護、特定施設、介護老人福祉施設(特養)などの主要サービス(こちらはいつもどおりです)。
• 新たに対象となったサービス: 訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅介護支援、介護予防支援など。
対象外となる事業所の条件
以下の場合は補助金の対象外となりますのでご注意ください。
• (介護予防)福祉用具貸与・販売、居宅療養管理指導。
• 令和8年4月以降に新設された事業所。
• 計画書の提出時点で廃止や休止が決まっている事業所。
受給要件
補助を受けるための基本要件は以下の通りです。
• ①介護従事者に対する幅広い賃上げ支援(基本要件): 原則として基準月(令和7年12月)に処遇改善加算を算定していること。未算定でも申請時に算定・誓約すれば対象となり得ます。
• 賃金水準の維持: 補助金による改善分を除いたベースの賃金水準を、前年同時期より低下させてはいけません。
• 労働法規の遵守: 労働基準法などの法令違反による罰金以上の刑に処されていないことが求められます。
加算要件(生産性向上・職場環境)
基本の賃上げに加え、以下の取り組みを行うことで補助額(交付率)がアップします。
• 生産性向上・協働化(②): 訪問・通所系などは「ケアプランデータ連携システム」への加入、施設系などは「生産性向上推進体制加算」の取得などが条件です。
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• 職場環境改善(③): 業務の見える化や役割分担の見直しなどを計画・実施することが求められます。
なお、②の要件を満たせば、③も満たしているとみなされます。
各サービスの補助率
訪問・通所系サービス

入所・居住・多機能系サービス

今回新たに対象となった訪問看護・訪問リハ・居宅介護支援サービス

補助額の算定方法
補助金は以下の式で計算されます。
計算式:基準月(令和7年12月)の介護総報酬 × 交付率
※交付率はサービス種別や上記要件(①〜③)の充足状況によって異なります。
【訪問介護の交付率パターンの例】
• ①+②+③(フルセット): 26.4%(最も高い補助率)
• ①+③(賃上げ+環境改善): 20.4%
• ①のみ(賃上げ支援のみ): 15.6%
このように、ICT活用や環境改善を組み合わせることで、補助額を大きく増やすことが可能です。また、居宅介護支援や訪問看護などは一律の交付率(例:居宅介護支援は15.0%)が設定されています。
支給方法と支給希望時期
• 支給方法: 原則として国保連(国民健康保険団体連合会)に登録されている口座へ振り込まれます。
• 希望時期: 「令和8年3月末までの早期支給」か「令和8年4月以降の支給」を選択できます。
補助対象経費①:賃金改善経費
基本給、手当、賞与など、スタッフへの直接的な給与アップに充てる費用です。退職手当は対象外です。安定的な処遇改善のため基本給での改善が望ましいですが、手当や一時金としての支給も可能です。
補助対象経費②:職場環境改善等経費
要件③を満たす事業所は、以下の費用にも充てられます。
• 介護助手の募集経費や、職場環境改善のための研修費。ただし、他の補助金でカバーされるICT機器の購入費用そのものには使えません。
※この枠を賃金改善に充てることも認められています。
手続きの流れ(計画書提出)
1. 計画書の作成・提出: 補助金の使途や要件を記載した計画書を都道府県に提出します。
2. 周知義務: 改善方法を就業規則の改訂や書面で全職員に周知しなければなりません。
3. 実績報告: 事業終了後、実際に支払った金額などを報告し、根拠資料を2年間保存します。
介護保険最新情報vol.1454(実施要綱)
QAピックアップ
特に重要なものをピックアップします
補助額により賃金改善や職場環境改善を行う場合、いつまでに行う必要があるのか
令和8年3月末までに補助金の支給を受けた場合、令和7年 12 月から令和8年3月末までの間に賃金改善や職場環境改善を行う必要がある。
令和8年4月以降に補助金の支給を受けた場合、令和7年 12 月から各自治体が定める実績報告書の提出の期限までの間に行う必要がある。
月遅れ請求、再請求等に伴う過誤調整分については、いつまでに生じ、いつまでに審査支払機関により受理されたものについて反映されるのか
事業実施スケジュール等は都道府県により異なる。
要件の審査に当たって、計画書や実績報告書での誓約や対応の報告以外に別の資料の添付や確認等を求めるのか
各要件への対応状況について、一律資料を提出することは求めない。ただし、各介護サービス事業所等において、根拠資料を用意し、都道府県の求めがあった場合には、速やかに提出することとする。※根拠資料の保存期間は2年間

本事業における補助対象経費は、賃金改善経費と職場環境改善等経費の2種類があるが、国保連が交付事業所等に対し補助額を通知する際は、補助額の総額のみが示される。本事業においては、実績報告書の提出の際に、「賃金改善の所要額」が、「補助金の総額のうち賃金改善経費の総額」以上となっていることを確認する必要があるが、介護サービス事業所等及び都道府県において、どのように「補助金の総額のうち賃金改善経費の総額」の値を確認するのか
介護サービス事業所等の事務負担を軽減する観点から、「補助金の総額のうち賃金改善経費の総額」の値は、介護サービス事業所等が交付を受けた補助額に、介護サービス事業所等が交付を受けた補助額の交付率を分母とし、交付率のうち賃金改善経費分の交付率を分子とした割合を乗じて算出した額(1円未満の端数は四捨五入。)をもって確認することとする。
➡なぜこの計算が必要なのか?
国保連から通知される補助額は「総額」のみで、内訳(賃金改善分と職場環境改善分)が示されません。しかし、実績報告では、「実際に賃金改善に使った額」が「国が定めた賃金改善経費の最低ライン」以上であることを確認する必要があるため、計算でその「最低ライン」を算出します。
➡計算の仕組み(考え方)は?
補助金は、サービス種別や要件(①〜③)に応じた「交付率」を報酬に乗じて決まりますが、その交付率の中には「賃金改善にあてるべき割合」が含まれています。
計算式は以下の通りです:
交付を受けた補助金の総額 ×( 賃金改善経費分の交付率 ÷ 補助額の算出に用いた全体の交付率 ) ※1円未満は四捨五入。
➡具体的な例で解説(訪問介護の場合)
※訪問介護の数値(①+③の要件を満たす場合)を例に説明します。
• 全体の交付率:20.4%
• うち賃金改善経費分の交付率:15.6%
• 国保連から振り込まれた総額:100,000円(仮定)
この場合、計算は以下のようになります:
1. 割合を出す:15.6 ÷ 20.4 = 約0.7647...
2. 金額にかける:100,000円 × 0.7647... = 76,471円
この 76,471円 が、実績報告書で確認が必要な「補助金の総額のうち賃金改善経費の総額(最低限、賃金改善に使うべき額)」となります。
その他のQAを確認したい方は以下をご確認ください。
まとめ
今回の補助金は、令和8年度の報酬改定を見据えた、国の「生産性向上」への強い意志が反映されています。特にケアプランデータ連携システムの活用などは、まだまだ多くの事業所が活用できていないかと思いますが、補助額に大きく影響するポイントです。
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ただ、当事務所は、処遇改善加算の代行についてスポット対応はしておりません。手続き・相談顧問等とのセットになりますので、ご容赦ください。
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