未成年者(年少者)を雇用するときのポイント

Noppo社労士事務所のTomoishiです。

夏休みや春休みなどの長期休暇の時期になると、高校生をはじめとする未成年者をアルバイトとして受け入れる事業所も多いのではないでしょうか。

しかし、労働基準法では、満18歳未満の未成年者に対して特別な保護規定が設けられており、大人と同じように働かせることはできません。
特に、働ける時間の上限や深夜の勤務、危険を伴う作業などについては、法律でしっかりとルールが定められています。

今回は、人事労務担当者の方が注意しておくべき、未成年者特有の規制についてご説明したいと思います。

未成年者(年少者)の雇用と労働基準法

労働基準法における年齢区分

まずはじめに、労働基準法における年齢区分について説明します。

労働基準法では、満18歳未満の未成年者を年齢によって「児童」と「年少者」に区別しています。

児童…満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまでの者

年少者…満18歳未満の者

児童は、原則、労働者として使用することはできません。

ただし、例外的に下記の条件を満たす場合に限って、労働させることができます。

まず大前提として、①健康及び福祉に有害でないこと②労働が軽易であること③修学時間外に使用すること④所轄労働基準監督署長の許可を得ること、の4つを満たす必要があります。そのうえで…

満13歳以上の児童→非工業的業種に限って、労働させることができます。

満13歳未満の児童→映画の製作又は演劇の事業に限って、労働させることができます。

このように、労働基準法では年少者(満18歳未満の者)の中でも、満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまでの者を児童として、特に区別して保護しています。とはいえ、児童に該当するような中学校卒業前の未成年者を雇用するケースはあまりないと思いますので、ここでは細かい説明は割愛させていただきます。

次からはいよいよ未成年者(年少者)を雇用する際のポイントについて見ていきたいと思います!

年少者の証明書の備え付け

年少者を雇用する際は、その年齢を証明する戸籍証明書を事業場に備え付けなければなりません。学生証のコピーではなく、戸籍謄本や抄本または住民票記載事項証明書などの公的な証明書類を提出してもらってください。

成人を雇用する際、戸籍謄本まで提出するように求めることはあまりないと思いますので、見落としがちな部分だと思います。

未成年者の労働契約

未成年者の代わりに親権者が労働契約を締結することはできません。契約書を締結する際は、必ず本人との間で締結しましょう。

また、親権者が未成年者の代わりに賃金を受け取ることもできません。賃金を支払う際は、本人名義の銀行口座を開設してもらうか、現金を本人に手渡しするようにしてください。

労働時間の制限

労働基準法では原則として、1日の労働時間は8時間以内、1週間の労働時間は40時間以内と定められており、未成年者についてはこれを超えて労働させることはできません。つまり、時間外・休日労働やフレックスタイム制、変形労働時間制の適用はできないということになります。また、週44時間の特例事業場において働く場合も、上記の理由から未成年者は週40時間までしか働くことができないので、注意してください。

ただし、変形労働時間制については例外があり、満15歳以上で満18歳に満たない者については、次のいずれかに当てはまる場合は働かせることができます。

・1週間の労働時間が40時間以内で、1週間のうち1日の労働時間を4時間以内に短縮すれば他の日の労働日を10時間まで延長することができる

・1週間について48時間以内、1日について8時間以内であれば、1ヶ月単位の変形労働時間制または1年単位の変形労働時間制を適用できる

二つ目の例外は比較的わかりやすいですが、一つ目の例外はどういう意味なのか文字だけでは分かりにくいですよね。具体例を挙げると、次のような働き方は認められる、ということです。

上の図では、日曜日と土曜日が休みになっていて、法定休日の他にもう1日休日が設定されています。この休日は労働時間4時間以内の日に該当するので、問題ないということになります。

深夜労働、危険・有害業務への従事禁止

未成年者の場合、深夜労働(午後10時〜午前5時間の間の労働)は禁止されています。ただし、非常災害の場合や、交代制により使用する満16歳以上の男性については、例外として深夜労働も可能です。

また、次のような危険または有害な業務については、就業が制限または禁止されています。

・ 重量物の取扱いの業務
・ 運転中の機械等の掃除、検査、修理等の業務
・ ボイラー、クレーン、2トン以上の大型トラック等の運転又は取扱いの業務
・ 深さが5メートル以上の地穴又は土砂崩壊のおそれのある場所における業務
・ 高さが5メートル以上で墜落のおそれのある場所における業務
・ 足場の組立等の業務
・ 大型丸のこ盤又は大型帯のこ盤に木材を供給する業務
・ 感電の危険性が高い業務
・ 有害物又は危険物を取り扱う業務
・ 著しくじんあい等を飛散する場所、又は有害物のガス、蒸気若しくは粉じん等を飛散する場所又は有害放射線にさらされる場所における業務
・ 著しく高温若しくは低温な場所又は異常気圧の場所における業務
・ 酒席に侍する業務
・ 特殊の遊興的接客業(バー、キャバレー、クラブ等)における業務
・ 坑内における労働 等

重量物を取り扱う業務は、年齢及び性別によって次の表のように制限されています。

※満18歳以上の男性の場合、法令上の明確な定めはありませんが、厚生労働省が発行している指針やパンフレット等では体重のおおむね40%以下となるよう努めるように記載されています。

未成年者(年少者)の雇用と社会保険・雇用保険・労災保険

年少者であっても、一定の条件を満たした場合は社会保険・雇用保険に加入する義務があります。それぞれ条件が異なりますので、下記をご確認ください。

社会保険

18歳以上の労働者と同様に、以下の要件を満たせば未成年者でも加入義務が発生します。

所定労働時間及び所定労働日数が、一般労働者の所定労働時間及び所定労働日数の4分の3以上であること

また、休学中、定時制、通信制の学生である場合は、2024年10月の社会保険の適用拡大に伴って、次の①~④すべての条件に当てはまる場合は社会保険に加入しなければなりません。

①従業員数(厚生年金保険の適用対象者)が51人以上の事業所に勤めている
②所定労働時間が週20時間以上である
③所定内賃金が月額8.8万円以上である
2か月を超える雇用の見込みがある

未成年者の場合は、扶養の範囲内で働くことを希望しているケースが多いと思います。学生であっても、一定の要件を満たすと扶養から抜けて自身で社会保険に加入する必要が出てきてしまいますので、自社の従業員数にも注意しながら労働条件を決めるようにしてください。

雇用保険

学生であれば、原則、加入対象とはなりません。

ただし、夜間、通信制、定時制の学生は例外的に加入対象となります。また、昼間学生であっても、卒業見込証明書を有していて、卒業前に就職し、卒業後も引き続き同一事業所に勤務する予定の学生や、休学中の学生も加入対象です。その場合、下記①②の要件を満たすと雇用保険に加入しなければなりません。

①1週間の所定労働時間が20時間以上であること
②同一の事業場において、31日以上継続して雇用される見込みがあること

雇用保険の加入対象となる学生の要件と、社会保険の加入対象となる学生の要件は微妙に異なりますので、注意が必要です!

労災保険

労災保険は、正社員、パート、アルバイトなどに関係なく、すべての労働者が被保険者になります。従って、学生であっても労災保険に加入する必要があります。

とはいえ、労災保険は全額事業主負担になるので、学生アルバイトは強制加入と言っても、労災保険料を負担することはありません。

覚えておいていただきたいのは、労災保険の被保険者ということは、学生アルバイトであっても、業務上や通勤途中で負傷した場合は労災の申請ができるということです。

学生だから、アルバイトだから労災の申請はできない、というのは誤った情報ですのでご注意ください。

まとめ

未成年者の雇用には、戸籍証明書の備え付けや労働時間の制限や深夜労働の禁止に加え、社会保険や雇用保険の取り扱いにも独自のルールがあります。
人事労務担当者の方には、これらを理解しておくことで法令違反を防ぐだけでなく、未成年者が安心して働ける環境づくりにつなげていってほしいと思います。今回の情報が少しでもお役に立てば幸いです。

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