令和8年度介護報酬改定で何が変わるのか、処遇改善加算拡充のポイントをわかりやすく解説

令和8年度、介護報酬は異例の期中改定が行われます。
本来は3年に1度の改定サイクルですが、今回はそれを前倒ししての実施です。

国がここまで早期対応に踏み切った理由は明確です。

介護現場の深刻な人材不足
・他産業との賃金格差の拡大
・物価高騰による経営圧迫

こうした状況の中で、現行制度のままでは介護人材を確保し続けることが難しくなったためです。

今回の改定で見直されるポイント

今回の改定は制度全体の組み替えではありません。
焦点は次の2点に絞られています。

・介護従事者の処遇改善
・食費など基準費用額の見直し

このうち、事業運営に最も大きな影響を与えるのが処遇改善加算の拡充です。

本ブログでは、処遇改善加算について解説します。

令和8年度介護報酬改定の改定率、賃上げ水準、施行日

全体の改定率は「+2.03%」です。

その内訳として、

処遇改善分だけで「+1.95%」※令和8年6月から施行

を占めています。

今回の改定の中心が賃上げ対策であることが分かります。

国が示している賃上げ目標は次の水準です。
(いつもどおりあくまでも”目安”です。運営しているサービス、売上によって変動します)

・介護従事者全体
月額1万円(約3.3%)の引き上げ

さらに、

・生産性向上や協働化に取り組む(のちほど説明する令和8年度の特例要件を満たす)事業所の介護職員は
月額7,000円(約2.4%)の上乗せ

合計で、
最大 月額1.9万円程度(定期昇給分約2,000円を含む)の賃上げを目指す設計となっています。

処遇改善加算の仕組みが大きく変わった点

今回の改定で最も重要なのは、加算の構造が変わったことです。

主なポイントは3つあります。

対象の拡大

これまで主に介護職員中心だった処遇改善が、「介護従事者」全体へと広がりました。

加算ⅠとⅡにおける「上位区分」の新設

単なる賃上げではなく、生産性向上や協働体制づくりに取り組む事業所が、さらに評価される仕組みになりました。

◆加算ⅢとⅣに、ベースとなる加算率の引き上げ(①のみ=月額1万円相当)はあるものの、上位区分はありません。

◆加算ⅠとⅡは、ベースとなる加算率の引き上げ(①=月額1万円相当)に加えて、上乗せ区分(②➡加算Ⅰロおよび加算Ⅱロ=月額7,000円相当)が新設されます。

上乗せ区分(②➡加算Ⅰロおよび加算Ⅱロ=月額7,000円相当)を算定するための要件は以下ア~ウのいずれかを満たす必要があります。
ア:訪問・通所サービス等:ケアプランデータ連携システムに加入
イ:施設サービス等:生産性向上推進体制加算ⅠまたはⅡの取得
ウ:社会福祉連携推進法人に所属していること

恐らく、ウを選択するのはハードルが高いと思いますので、アもしくはイになるのではないでしょうか。

対象サービスの拡張とその加算率 ※訪問看護、居宅介護支援等

新たに処遇改善加算の対象となったサービスは次の通りです。

サービス区分加算率
訪問看護 ※介護予防も同様1.8%
居宅介護支援・介護予防支援2.1%
訪問リハビリテーション ※介護予防も同様1.5%

これにより、ほぼすべての介護サービスが処遇改善加算の対象となりました。

新たに対象(訪問看護、居宅介護支援等)となったサービスの取得ルート

訪問看護、居宅介護支援、訪問リハビリテーションは、次の2つのルートから選択できます。

◆ルート1 従来の加算Ⅳ相当要件
・賃金体系を就業規則に定める(キャリアパス要件Ⅰ)
・職員研修等を計画する(キャリアパス要件Ⅱ)
・職場環境の改善に取り組む(職場環境等要件)
※申請時は令和9年3月末までに制度整備をする誓約のみで算定可能

◆ルート2 令和8年度特例要件
・ケアプランデータ連携システムへの加入または社会福祉連携推進法人に参画している
※申請時は令和9年3月末までに加入の誓約のみで算定可能

今後を見据えると、ルート2は手続きがシンプルで初期コストも抑えやすい方法といえます。
現在は令和8年5月末まで無料で利用できるキャンペーンも実施されており、導入を検討しやすい環境にあると思います。

従来から処遇改善加算の対象となっていたサービスの加算率

※介護職員等処遇改善加算を除く加減算後の総報酬単位数に上記の加算率を乗じる。加算率はサービス毎の常勤換算の職員数に基づき設定
※介護予防についても同様の措置を講ずる場合には★を付記

まとめ

対象は介護職員から介護従事者全体へ拡大され、訪問看護や居宅介護支援なども新たに加算対象となっています。

既存サービスの加算ⅠとⅡの取得要件は二層構造となり、せっかく一本化したのに…!という思いは拭いきれないものの、介護従事者への支給方法については簡便化されたままなので、しっかりと配慮はしてくれていると思います。

これまでもそうですが、インフレに対応するためには、処遇改善加算をどこまで活用できるかが今後の人材確保と事業運営の安定性を左右する重要なポイントとなるのは間違いありません。

国は、業界全体の生産性向上を見据えて「データ連携」を強く求めています。上位区分取得に向けて、ぜひ早めに動いてください。

もし、サポートが必要でしたら、Noppo社労士事務所までご相談ください。

ただ、処遇改善加算のスポット対応はしていないため、顧問契約が前提となりますので、ご容赦ください。

よろしくお願いします。

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