知っておくべき基礎知識【年度更新】

Noppo社労士事務所のkokubuです。

毎年実施される「年度更新」ですが、皆様内容はご存じでしょうか?
保険料等について調べる機会はなかなかないですよね。
今回は「知っておくべき基礎知識【年度更新】」と題し、内容についてまとめていますので、お時間のある時にぜひともご一読ください。

年度更新とは

年度更新とは労働保険料を納付するための手続きです。

労働保険料とは「労災保険料」と「雇用保険料」をまとめたものを指します。
(詳細は下記補足①にて)

ただ、労働者側(雇用保険被保険者)は、毎月の給与から雇用保険料が天引きされていますが、労災保険料は天引きされていないですよね。

それは労災保険は労働者負担がなく、全額事業主負担の保険だからです。

会社側(事業主)は、労働者(被保険者)の給与から天引きした雇用保険料と事業主負担分の雇用保険料、さらに全額事業主負担である労災保険料を合わせて、年度単位で国に納付する必要があります。

これを「年度更新」といいます。

年度更新の手続き内容

年度更新の手続き内容は下記のとおりです。

①本年度の概算保険料を申告・納付する

②前年度の確定保険料を申告する

③前年度概算保険料として申告・納付していた額を基に精算or充当する

④本年度の一般拠出金を納付する

これら①~④の内容を「労働保険 概算・確定保険料申告書」として作成し、都道府県労働局(金融機関経由での提出も可)または労働基準監督署(建設業等の二元適用事業の雇用保険分以外)に申告(提出)・納付します。

納付する労災保険料と雇用保険料の額は、毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間、全ての労働者(雇用保険については被保険者)に支払われる賃金の総額に、その事業の種類ごとに定められた保険料率を乗じて算定します。
【労災保険料】=【【全労働者に支払われた賃金総額】×【労災保険料率】
【雇用保険料】【雇用保険被保険者に支払われた賃金総額】×【雇用保険料率】

年度更新の流れ

概算保険料 <申告・納付>

本年度に、大体どのくらいの賃金を全従業員へ支払うことになるかを予想した賃金見込み額から概算を算出し、本年度(R07年度)の概算保険料として申告・納付します。

R07年度
(R07.4.1~R08.3.31)
算定基礎額料率(1000分の)概算保険料
労災保険分R07年度賃金総額見込額※1×各事業の種類ごとA円
雇用保険分R07年度賃金総額見込額※2×各事業の種類ごとB円

※1【全労働者に支払われた賃金総額】
※2【雇用保険被保険者に支払われた賃金総額】

A円+B円=R07年度概算保険料【申告・納付】

②③確定保険料 <申告・精算or充当>

次に前年度に実際支払った賃金額を基に、実態に合った保険料額を算出し、R06年度の確定保険料として【申告】します。

そして、前年度に申告・納付したR06年度の概算保険料と、本年申告・納付するR06年度の確定保険料の差額を【精算】または【充当】します。

・昨年の概算保険料が今年の確定保険料を下回っていた場合・・・
【精算】不足分を支払う

・昨年の概算保険料が今年の確定保険料を上回っていた場合・・・
【充当】次の年の概算保険料、またはその年に納付すべき一般拠出金に充てる。

※労働保険料はあくまでも賃金総額をベースに計算されているため、労災の発生件数等は関係なく、労働者数が増えれば賃金総額も上がり不足分が発生することになります。


R06年度
(R06.4.1~R07.3.31)
算定基礎額料率(1000分の)確定保険料
労災保険分R06年度賃金総額※1×各事業の種類ごとC円
雇用保険分R06年度賃金総額※2×各事業の種類ごとD円

※1【全労働者に支払われた賃金総額】
※2【雇用保険被保険者に支払われた賃金総額】

C円+D円=R06年度確定保険料申告】

R06年度確定保険料-R6年度概算保険料=差額(充当分/不足分)【精算or充当】

一般拠出金 <納付>

アスベスト(石綿)健康被害者の救済費用として充てられるものであり、労災保険適用事業主はそれを負担する義務があります。
※アスベストとは、すべての産業(施設、設備、機材等)に使われてきたもの。
※特定加入者、雇用保険の未適用の事業主は申告・納付の対象外となる。

一般拠出金は、概算分不要のため、確定分のみの【納付】となります。

R06年度
(R06.4.1~R07.3.31)
一般拠出金R06年度賃金総額※1×0.002E円

※1【全労働者に支払われた賃金総額】

一般拠出金(E円)【納付】

手続き

毎年6月1日から7月10日に実施されています。申告(提出)・納付は期限を必ず守りましょう。
手続きが遅れると、さらに追徴金を課される場合があるので注意が必要です。

※金額が大きい場合は分割納付となる場合もあります。
※業種によって、申告書の様式は異なりますのでご注意ください。

<補足①>労働保険

そもそも、労働保険料とは「労災保険料」と「雇用保険料」をまとめたものを指します。

労働保険料労災保険料雇用保険料

◆労働保険の<労災保険>

【労災保険の加入対象者】→労働者全員

事業主は対象外であるため、入れません。
保険料は事業主が全額負担します。

事業主が支払っている賃金総額により保険料を計算し、それぞれの労働者がもらっている賃金によって 保険給付の額が決定します。
保険料率は、業種により異なります。

◆労働保険の<雇用保険>

【雇用保険の加入対象者】※下記3つの条件を全て満たす人

①1週間の所定労働時間が20時間以上
②31日以上継続して雇用される見込みである
③昼間部の学生ではない(休学中など一部例外あり)

事業主と被保険者の保険料負担は、失業等給付事業に当てられる保険料は2分の1ずつ、 雇用保険二事業に当てられる保険料は全額事業主負担となっています。
保険料率は、業種によって異なります。

<補足②>労災保険の『特別加入制度』

本来、事業主は労災保険に加入できませんが、業務や通勤の実態、災害発生状況からみて、労働者に準じて保護するにふさわしいとされた人々に、労災保険加入を認める制度のことです。

加入できるのは4種に大別されており、
<中小事業主等><一人親方等><特定作業従事者><海外派遣者>が該当します。

特別加入の場合、委託している労働保険事務組合にもよりますが、年度更新の締め切りが早まることがございますので、ご注意ください。

おわりに

今回は、年度更新についてご紹介しました。
説明ではどうしてもややこしくなってしまいますが、丁寧に一つずつ内容を理解することが、手続きをスムーズに進めるための第一歩となります。
ご参考になれば幸いです。

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